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2014.10.9

純喫茶ろっく亭

『純喫茶ろっく亭』

大町商店街のメインストリートを1本西へ入り、少し進むと

ぼろぼろの木の板に消えかかりながらもはっきりとそう書いてある看板が目に入った。

 

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そのぼろぼろな看板と「純喫茶」という言葉に惹かれてふと左手を見ると、

少し奥まったところに、いかにも。といった感じの建物がある。

 

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おそるおそる階段を上がると、
木の扉。ガラスごしに中の様子が少し見える。

 

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扉を開けた瞬間
「あ、見つけちゃった」
と、直感的に思った。

 

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長い年月を重ねてきた独特の熟成された空間がその扉の向こうには広がっていた。

「完成された」ではなく、間違いなく「熟成された」空間。

薫りも色合いも、深みも旨みも滲み出ているような、そんな感じ。


床も机も椅子も木造りであたたかみのある店内。

どっしりとした木のカウンターは長い間ここで様々なストーリーを見てきたと言わんばかりに、

丸みをおびて柔らかな手触りになっている。

 

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そしてそのカウンターの向こうにはオーナーである小さなおばあちゃんが座っている。



一番隅の席に座ろうとしていると
「そこは狭いから、こちらにどうぞ」とおばあちゃんが声を掛けてくれた。



おばあちゃんはここで旦那さんと喫茶を始めて33年。

元々ここは公衆浴場で、製氷工場でもあったそうだ。

その仕事を辞めることになった時、

何をしようか考えておばあちゃんも旦那さんも珈琲が好きだから喫茶にしようと決まった。

お店をするならメインストリートに面したところでした方がいいと言う人が多かったけれど、

静かにお店を営みたいという思いから、あえてこの1本入った場所でオープン。

 

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カフェオレを注文して待っていると
ふつふつとお湯を沸かす音が聞こえてきた。

カウンターの向こうでおばあちゃんがゆっくりと動いている。

「どうぞ」

カタカタと震える手で淹れたてのカフェオレを出してくれた。

 

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棚には形も大きさも様々なティーカップやポットが並べられている

「わたしがこうゆうのが好きでねぇ。つい、いろいろ集めてしまって。」

旦那さんと一緒に旅行に行って見つけたものや、

海外を飛び回る娘さんが買ってきたもの等がいつの間にか増えていったそう。

 

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あーなんて素敵なお店。
見つけてしまった。
やっぱりいい予感した通りだ。

うきうきしながら
「本当に素敵ですね!!」
とキョロキョロしていると

「嬉しいわあ。でもねぇ、来年、閉めるのよ」


一瞬、ほんとに、固まってしまった。


「わたしも本当にこのお店が好きだから辞めたくはないんだけど。

体がね。続けるのは難しくて。」

昔は名古屋や神戸など、遠方からもお客さんが来ていてくれたのだそう。

けれど、長い年月をかけてこのお店が熟成されていったのと同じように、

来ていたお客さんも歳をとり、このお店の階段を登れなかったり、

亡くなってしまったり、足が遠のいてしまったそうだ。



店内にあるおばあちゃんのお気に入りたちは、辞めるまでに欲しい人に売ったりしてきっちりと片付けるそう。

 

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なんだか、
とても切なくなってしまった。


こんなに、素敵なのになぁ。


帰り際「こんな若いお客さん久しぶりにお会いしたわぁ」

おばあちゃんが柔らかい笑顔で送ってくれた。


お店は来年9月末ごろまでで閉めるそう。

たぶん、それまでに何回も来ることになると思う。


どっと大勢で来るのはきっとおばあちゃんは大変だし、

なんか違う気がする。

ここはふらりと立ち寄りたいお店。



ぜひ、ふらりと。


大町に来たときは

ふらりと寄ってみて欲しい。

おばあちゃんを軸に、長い年月をかけて創り上げられた

純喫茶ろっく亭』に出会ってみて欲しい。


ちゃけ

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